愛犬の健康と成長のため、ドッグフードについて学ぼう
ペットフード
本来動物は、食物を自ら採食していましたが、人が動物を飼養するようになってからは、食事の給与方法や栄養内容、保存・流通性などが研究されてきました。現在では動物の食事は、ときには人の食品以上に高度な内容の工夫と配慮がなされるようになっています。ドッグフードは世界中にたくさんの種類、ライフステージ別に専用のペットフードがあります。ペットの年齢に合わせて選ぶもの、病気やアレルギーを予防するもの、好みの味で選ぶものなど、フードの種類や形状はウェットもあればドライや半生もある…など、種類はさまざまです。 ペットの健康を維持するためには、栄養バランスのとれた適切な食事を与えることが重要です。若いうちから病気になって病院通いにならないように大切なペットに最適なフードを与えましょう。
まず、フードの種類、上手なペットフードの選び方などペットの食事について知っていきましょう。
年齢別:ライフステージ
①新生子期:生後21日頃まで
生後0~21日頃までの必要な栄養はすべて母乳から取り入れます。
この時期は「食べて、寝る」という生活をします。生後21日ごろには目が見えるようになり、乳歯も生えはじめます。出産後すぐの初乳には、さまざまな感染症に抵抗力をもつ抗体が含まれているため、母犬の初乳を飲ませることは子犬の健康にとても大切なことです。
②幼年期:生後21日 ~ 90日頃まで
いわゆる離乳食。いきなり粒状のペットフードを与えるのではなく、フレーク状や粉末状のものをペーストにしたものやウェットタイプにして食べやすく、消化吸収のよいものを与え慣らすことが必要です。食事は1日4回に分けて与えます。
③少年期:生後90日~6ヵ月
生後3~6ヵ月の頃は、ドライフードへの切り替え時期です。ごはんの水分量が減り、愛犬の消化器もだんだん発達していきます。食事は1日3回以上で与えます。
④青年期:生後6ヵ月~2年
体が成長するために必要なタンパク質、脂肪、ミネラルを多く含み、全ライフステージ中、最も高カロリー・高栄養食です。食事は1日2回に減らしていきます。
④成年期:生後2年~8年
1歳を過ぎたら成犬または成猫用食となり、アダルト、メンテナンスなどの名前がついています。一生の半分はこの時期となるため、大切な食生活となります。バランスのとれた良質な食事を取ることが健康に大きくつながります。
⑤高齢(シニア)期:約8歳~10歳以降(個体差あり)
個体差がありますので高齢期の年齢は一概には言えませんが、生後8年以降は高齢期になります。犬も猫も高齢になると運動量が減り、老化とともに身体機能が衰えてきます。よって基礎代謝が低下するのに伴い、必要なエネルギー量も20%ほど低下します。成年期と同じ食事では太る原因となったり、内臓に負担がかかったりしかねません。高齢期に合った栄養バランスを考えて、脂肪分を控え、低カロリーで胃腸に負担がかからず消化吸収のいいフードに替えていきましょう。
⑥その他、療法食
フードに含まれる栄養バランスが予防や悪化防止として重要となる病気が多く存在します。例えば、尿石症と呼ばれる膀胱や尿道、腎臓などに結石ができてしまう病気に対しては、ミネラルバランスを調整し、尿のpHをコントロールする療法食を食べさせることが尿石の溶解や再発防止としてとても重要です。他にも腎不全や糖尿病の悪化を防止するためのフードや、皮膚や関節に良い成分を加えたフードなどが療法食として作られていますので、持病のあるペットは獣医師と相談しながらフードを選ぶと良いでしょう。
1歳を過ぎても子犬用フードを食べさせても大丈夫?
子犬用フードは、ぐんぐん成長する子犬のために高栄養になっています。
からだの成長が落ち着いても食べさせ続けていると、肥満になってしまう可能性も。1歳を過ぎたら成犬用フードに切り替えましょう。
食事は1日に1回でもいいの?
維持期では、食事の回数は1日1回の食事でも1日に必要なエネルギー量を消化吸収できる能力があるといえます。 しかし、一度に大量のフードを摂取すると胃腸への負担も大きく、また空腹時間が長いと、体が飢餓状態と判断して吸収率が高まるため太りやすくなります。さらに、胃の空腹時間が長くなると、胃液や胆汁をもどしやすくもなるので、基本的には1日数回に分けて与えるのがいいでしょう。
フードの種類
ペットフードは大きく分けてドライタイプ、ソフトドライタイプ、セミモイストタイプ、ウェットタイプの4種類に分けられます。缶詰などに入ったウェットタイプ(水分量:通常75%程度)は嗜好性が高く、開けなければ保存性が高い商品です。
分類 |
定義 |
ドライフード |
水分量は通常10%程度以下。栄養素の調節がしやすいこと、保存性が高いこと、与えやすいことなどが特徴です。 |
ソフトドライ | 製品水分25~35%程度のフードで、加熱発泡処理されています。しっとりさを保つために湿潤調整剤を使用します。保存性はあまり高くなく、短期間で使い切る必要があります。 |
セミモイスト | 製品水分25~35%のフードで、押し出し機などで製造され、発泡していないものです。しっとりさを保つために湿潤調整剤を使用します。柔らかくて食べやすく、嗜好性が高いのが特徴です。 |
ウェット缶詰 | 水分75%程度で、品質保持のために殺菌工程を経て、缶詰に充填されたフード。 |
ウェットその他 | 水分75%程度で、品質保持のために殺菌工程を経て、アルミトレーやレトルトパウチに充填されたフード。 |
目的別
①総合栄養食
「総合栄養食」とは、毎日の主要な食事として給与し、そのペットフードと飲み水だけで適切な成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれた製品です。
公正競争規約に定められている「栄養成分等の基準」を満たしたペットフードについてのみ「総合栄養食」と表示することができます。「栄養成分等の基準」は、米国等で用いられているAAFCO(米国飼料検査官協会)の基準と同様の栄養成分基準となっています。
③間食
間食とは栄養補給のみを目的としたものではなく、おやつやスナック又はご褒美として与えられるペットフードです。一般には、おやつ、スナック、トリーツなど、これらに類似する表現・表示がされています。
④療法食
獣医師が犬や猫の疾病の治療などを行う際、人間の場合と同様に、栄養学的なサポートを目的に、獣医師の指導のもとで食事管理に使用されるペットフードのことです。 尿石症や皮膚疾患、アレルギー、腎疾患、消化器疾患、糖尿病など様々な病気や健康状態に応じて、栄養成分の量や比率が調整されています。
⑤その他の目的食
総合栄養食、間食、療法食以外のペットフードのことで、総合栄養食でない缶詰・レトルトフードや、ペット用サプリメント、ふりかけなど、特定の栄養成分を調整する「栄養補給食」があります。
どのフードを選ぶにしてもパッケージのどこかに「総合栄養食」という記載があるものを選びましょう。総合栄養食とは、それと水を与えるだけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれた製品です。
特別に健康に配慮したフードとは
①低アレルゲンフード
アレルギー反応を起こしやすい、小麦・とうもろこし・大豆・グルテン・乳製品・卵・牛肉・豚肉・鶏肉などの不使用。
②おなかの健康に配慮したフード
腸内環境の健康に配慮してオリゴ糖などを配合したフードや、消化性を良くしたフード。
③関節・軟骨に配慮したフード
関節のクッションを補強し、関節の滑らかさ、衝撃吸収、耐久性などの機能をサポート。
④肥満対策フード
脂肪分を少なく調整した低脂肪・低カロリーのフードで、食物繊維などで満腹感を満たすようなものもあります。
犬に与えてはいけない食べ物
ネギ類、ニンニク、貝類、生の豆類、ナッツ類、生魚・生肉、生卵白、カフェイン含むもの、香辛料、チョコレート、ブドウ、キシリトール、菓子類