2023.12.11

国産と海外製、ペットフードの安全基準が違うのをご存じでしょうか?ペットフードは「国産だからが安心」と言えない理由。

品質比較で見える、ペットフードの真実。安全は国産だけにあらず。知識が守る愛犬・愛猫の健康。

ペットフードの安全性について、国内製品と海外製品、どちらが安全なのか!?

日本では「ペットフード安全法」という通称の法律が施行されており、ペット向けの食品の製造・輸入・販売においてペットの健康に害を及ぼすような行為が禁止されています。

この法律により、国内製のドッグフードの品質は向上しており、飼い主の意識も高まっています。

しかし、残念ながら日本はまだまだペット先進国と比べて遅れを取っており、ペットフード安全法には改善の余地があると言われています。

日本ではペットフードや犬のおやつは、食品衛生法の対象ではないため、法的には食品として扱われていないのです!

 

 

国産のドッグフードの問題点とは。

無添加表示を信じて良いのか?

日本ではドッグフードは家畜のエサの一部として見なされておらず、その安全基準は家畜のエサよりも低い最低レベルに設定されています。

そのため、日本ではドッグフードの原材料には、食用に適さない家畜の内臓や骨、血液、ひづめ、羽、さらには死んだ家畜の使用が許可されています。

一方、ウシやブタなどの家畜は人間が摂取するため、安全基準は厳しく設定されています。

しかし、犬や猫などのペットは人間が食べる対象ではないため、安全基準は最低限にとどまっているのが実情です。

 

①ペットフードの原産国表示について

実は、中国で生産された製品でも、最終的な加工や製造が日本で行われていれば、「国産」と表示することができるのです。

したがって、製品に「日本製」と書かれていても、必ずしも日本で作られたものとは限りません。そのため、「日本製」「国産」と表示されていても安心できない場合があります。

ドッグフードの安全性を判断する際に忘れてはならないのは、原産国と原材料の産地が必ずしも一致しない可能性があるということです。また、メーカーと製造工場が同じ国内にあるとも限りません。

 

②ペットフードのヒューマングレードの表示

ペットフードは食品衛生法の対象ではないため、ヒューマングレードという表示があっても、その内容が本当かどうかは確証できません。

日本では法律の規定が緩やかであり、ヒューマングレードではない商品がヒューマングレードと表示されていても、罰則などは存在せず、メーカーの倫理や道徳に委ねられています。

 

③ペットフード安全法では、原材料の5%未満については内容や原産国の表示義務がない

同様に、添加物も5%以下であれば表示義務はありません。したがって、無添加と表示されていても、実際には5%近くまで添加物が含まれている可能性があります。5%と聞くと少ないように感じますが、実際にはかなりの量です。

 

ペットフードに使用する添加物の基準が甘い

ペットフードに使用される添加物の基準は、人間用の基準に比べてかなり緩く設定されています。

例えば、発色剤として亜硝酸ナトリウムの使用は認められていますが、その許容基準値は人間用の基準に比べてはるかに高く設定されています。

さらに、BHA、BHT、エトキシンなどの酸化防止剤がドッグフードに添加されることも認められています。これらの添加物はすべて有害ですが、特にエトキシンは人間用としては使用が認められていません。

犬や猫は体が小さく、同じドッグフードを長期間摂取するため、人間に比べて影響も大きくなります。

 

⑤ドッグフードの原材料に含まれる添加物の表示義務がない

ドッグフードの原材料に含まれる添加物は表示する義務がありません。では、問題1との違いは何でしょうか?

実際には、ドッグフードの製造時に添加物が使用された場合、5%以上の割合で含まれている場合には表示しなければなりません。ただし、原材料自体に添加物が含まれていた場合は表示義務がありません。

別の記事で説明されているように、「ミール」「パウダー」「家禽」「肉副産物」といった表記がある肉の素性や使用された薬剤の詳細は表示する必要がありません。

表示義務がないということは、使用する前の段階でどんな危険な薬剤が使用されていたとしても、メーカーは管理する義務がないということです。

しかし、原価を下げるために使用される副産物には様々な薬剤が使用されている可能性があり、これは非常に心配なことです。愛犬の健康のためにも、そういった食品は避けたいと思います。

 

でも、海外のペットフードは安全で安心なの?

ヨーロッパとアメリカでは、ペットフードの品質は非常に厳しい法律によって保護されています。

日本に輸入される欧州のペットフードは、厳格な基準を満たしています。ドッグフードの先進国であるドイツやイギリス、アメリカでは、ドッグフードは私たちが食べる食品や家畜の餌と同じ基準で取り扱われています。EU・ヨーロッパでは「一般食品法規制(規則178/2002/EC)」、アメリカでは「連邦食品・医薬品・化粧品法」という法規制の下で、ドッグフードの安全確保が行われています。 これらの法規制により、海外のペットフードは高い品質基準に則って製造されており、安全性が保証されています。そのため、海外のペットフードは安全で信頼性があります。

 

①アメリカ

アメリカでは、ドッグフードは非常に厳しい法律で規制されています。さらに、消費者の力が非常に強いため、情報公開も進んでいます。

ドッグフードの安全性はもちろんのこと、原材料の品質、製造方法、製造施設、そしてフードのラベル表示方法まで、FDA(アメリカ食品医薬品局)、AAFCO(米国飼料検査官協会)、USDA(アメリカ農務省)、FTC(連邦取引委員会)などの連邦政府、州政府、地方自治体の法律によって規制されています。

各州では、AAFCO(米国飼料検査官協会)と同等以上の規則が適用され、規則に違反したメーカーには厳しい罰則が科せられます。

アメリカは訴訟大国としてもよく知られており、ドッグフードにおいてもリコールやメーカーの自主回収が行われることがあります。一方、日本にはリコールが少ないのは、厳格な法律が存在しないためです。

日本にも業界団体やガイドラインは存在しますが、違反に対する罰則は特に設けられていません。

簡単に説明しましたが、現時点ではアメリカの法律が世界的に見てもドッグフードに関して最も厳格と言われています。

したがって、アメリカのドッグフードの中でも高評価な製品は、世界中のドッグフードのトップクラスと言えます。

 

①ドイツ

ドイツはまさにペット先進国です。犬には電車の定期券まで交付され、犬の権利も厳格に保護されています。この点で、ドイツはヨーロッパの中でも最高水準の動物愛護国家です。

国民の意識も非常に高く、犬を飼う人々は犬のトレーニングを当たり前のことと考えています。そのため、犬が電車に乗っても問題ありません。

犬を飼う人々は「犬税」を支払わなければならず、この犬税によってさまざまな制度が整備されています。

ドッグフードに関しても、当然ながら法律は厳しく規定されており、すべての原材料はヒューマングレードのものを使用し、合成添加物を使用しないなどの厳格な基準が設けられています。そのため、ド イツのドッグフードは特に高い評価を受けており、安心して利用できると言えるでしょう。

ただし、日本で販売されているドイツのドッグフードはなぜか種類が少ないというイメージがあります。もっと品揃えが増えてくれるとありがたいですね。

 

外国産のドッグフードは正規輸入が安全!並行輸入は危険!

外国産のドッグフードを安全に選ぶためには、「輸入方法」に注意が必要です。外国産のドッグフードには、メーカーと直接契約を交わした正規代理店が輸入した「正規輸入品」と、メーカーとの契約なしに勝手に輸入された「並行輸入品」の二つがあります。

まず安全なのは、メーカーと契約を交わしている正規輸入品です。正規輸入品は原産国の在庫ではなく、日本からの発注に応じて製造されるため、新鮮なドッグフードを手に入れることができます。

また、正規輸入品には長期間の輸送に耐えられるパッケージや、日本語対応の原材料表示などがあります。一部のメーカーでは、日本の気候に合わせて原材料を調整する場合もあります。

このように、正規輸入品のドッグフードは日本向けに製品化されています。

一方、並行輸入品は流通しているフードを集めたものであり、賞味期限はバラバラです。また、どのような保管状態で管理されていたかも不明です。

並行輸入品の賞味期限は原産国の基準に合わせて設定されているため、日本向けのフードよりも長くなっている場合もあります。

その結果、日本の品質基準を超えたフードが劣化している可能性があり、愛犬に与える際に問題が生じる恐れがあります。

正規輸入品を判断するには、パッケージが日本語対応されているか、賞味期限が迫っていないかをチェックしましょう。また、異常に安価な商品は並行輸入品の可能性があるため、注意が必要です。

愛犬の健康を考えるなら、必ず正規輸入品のドッグフードを選ぶようにしましょう。  

 

毎日は高級品ばかり買えない!

家庭ごとに生活状況は異なるため、ペットのために高価なフードを購入することは難しいかもしれません。

ペットを飼っているからこそ、コストパフォーマンスの良いフードをできるだけ安く多く購入したいという事情もあります。それぞれの状況によって違いがあります。

しかし、安価なフードを続けて与えることは安全性が低くなります。それによってペットは若いうちから病気になり、病院通いが必要になるかもしれません。病院に行く費用は高価なフードを買うよりも何倍もかかるでしょう。そう考えると、病院に行かずに健康を維持できるように食事だけで対策を取る方がコストも手間もかかりません。

もちろん、毎日高級品ばかりを与えることはできない場合もあると思います。毎日ではなく週に3回や4回だけでも構いませんし、1日のうちの1食だけでも少し質の良いフードを混ぜるなど、自分たちに無理のない範囲で与えることが大切です。

人間と同様に、ペットの体は口にしたもので作られていきます。ペットは自ら食べ物を選ぶことができないため、飼い主さんが適切に選んであげる必要があります。

それがペットが長生きし、健康で一緒に過ごす秘訣となるでしょう。